小樽水彩画会 歴代会長の風貌
戦後小樽の水彩画界の発展に貢献してきた小樽水彩画会の歴史をたどる「小樽水彩画会 歴代会長の風貌」展(3月21日~4月19日)が市立小樽美術館2階展示場で開かれ、美術愛好者の目を楽しませている。1948(昭和23)年、初代会長の宮崎信吉(1896~1966)と会員10人で創立以来その活動は途絶えることなく今日まで66年の年輪を刻み、北海道美術協会(道展)はもちろんのこと日本水彩画会など中央でも活躍する人材も育ててきた。
水彩画の普及や啓発、会員相互の親睦を深めるための研修、スケッチ旅行、互評会などを重ね、現在は笹川誠吉さん(79)が6代目の会長を務め、会員20人で活動を続けている。
今回の企画展は初代会長の宮崎信吉から後を継ぐ中島鉄雄(1912~1984)森田正世史(1912~1990)坂東義秋(1925~1991)山本泰夫(1921~1998)そして現在の笹川会長と6代にわたる歴代会長の画歴をたどる全作品43点を展覧した。笹川会長はもちろん健在だが、あとの5人は故人というわけで、その先人の水彩画に向けた意欲とエネルギーを偲ばせる内容となった。
展示作品は―。宮崎信吉は「婦人像」「川べりの春」「廃船のある漁村」など人物や風景、静物などをモチーフにした11点。中島鉄雄は「小樽港」「初冬(札幌)」「早春セーヌ河」「シャルトル」など7点。坂東義秋は「運河秋陽」「晩秋の街」「雪晴れの造船所Ⅱ」などの大作5点。森田正世史は「サーカス小屋」「妙見市場」「稲穂町夕景」「初冬(毛無山)」「ニセコ晩夏」「秋渓(小樽内川)」など大作、小品合わせて14点。山本泰夫は「残照」「浜の人」の大作3点。そして現会長の笹川誠吉が「石造倉庫」「運河待春A」「マテラ街景」の力作3点である。
この6人の水彩画家はいずれも道展会員に、そして日本水彩画会員に名を連ねており、本展は図らずも小樽はもちろん、ひいては道内そして中央の水彩画界の戦後の歩みを物語る内容になったと自負している。