市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

「オートマティスム 一原有徳モノタイプ×宮井保郎デカルコマニー展オープン

 モノタイプの一原有徳(1910-2010)、デカルコマニーの宮井保郎(1937-)というそれぞれユニークな版画技法による二人展が始まりました。

 モノタイプは金属板などに絵具やインクでじかに描画し、それが乾く前に紙をあてて図像を刷り取る技法です。

 一方、デカルコマニーは紙と紙の間などに絵具を挟んで押しつけることによって偶発的な模様を得る技法ですが、繰り返し使用できる版を用いず、一回きりで版面の描画や模様が刷り取られてしまうという原理は同じです。

 展示室に並ぶ二人の作品を見比べると受ける印象はずいぶん異なります。金属板の上にインクを塗り、それをペイントナイフなどでひっかいたりこすり取ったりして描画する一原の作品には金属部品が無限に連なったような硬質な光景が展開されています。生命の気配が感じられないその無機質な雰囲気はモノクロームということも影響しているようです。

 これに対して宮井の作品は転写が生み出す不可思議な形態と虹のようにカラフルな色彩によってオーガニックなイメージを喚起し、超細密なマティエールともあいまって見る者をミクロともマクロともつかない夢幻の世界へいざないます。

 小樽市内で長年額縁店を営む宮井とその顧客であった一原との間には長い交流がありました。約40年前、日本画からデカルコマニーに転じた宮井に対し、一原はいち早くそのオリジナリティを認め、後押しをしました。気に入った作品を自作と交換することもあったといいます。一原有徳記念ホールで開かれるこの二人展を亡き一原もさぞ心待ちにしていたことでしょう。

苫名 真

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