市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

色彩の饗宴 巨匠たちの絵とパレット

p-top ピカソ、ユトリロから国内の大家、そして北海道ゆかりの画家たちの作品とパレットを集めた「色彩の饗宴 巨匠たちの絵とパレット」展(5月17日~7月21日)が当美術館で開かれ、来館者でにぎわっている。開館35周年を記念する特別 展として企画した展覧会である。国内外の作家の手になる油彩画を収集する笠間日動美術館(茨城県笠間市)は世界的にも珍しい画家のパレットにも着目40数年にわたって収集しており、そのコレクションは350点に上るという。今回はこれらのコレクションの中からすでに故人となった”巨匠”といわれる35人と存命の5人を合わせて40人を選び、その画家の絵画作品と制作に使われていたパレットを借り受けて特別展が実現した。
 展覧会の構成は3部からなる。第1部は「北海道ゆかりの画家たち」のタイトルで、小樽出身の小寺健吉、中村善策、国松登をはじめ、片岡珠子、三雲祥之助、田中忠雄、田辺三重松、三岸節子、中谷龍一、香月泰男、渡辺祐一郎、相原求一郎、蛯子善悦と今なお活躍する松樹路人、笠井誠一ら15人の絵画とパレットが1階会場に陳列されている。大半のパレットには盛り上がった絵具のすき間部分に絵が描かれており、片岡珠子のパレットには本格的ともいえる役者絵で驚かせてくれる。三雲祥之助は女性の顔、中谷龍一は牛の群れ、田中忠雄は人物、相原求一郎は鳥という具合い。
 2階会場は第2部の「日本洋画壇のきらめき」のタイトルで21人の作家が並び、第3部は「海外の巨匠たち」でパブロ・ピカソ、モーリス・ユトリロ、ラウル・デュフィ、アンリ・マチスの4人が登場する。うち、ユトリロは笠間日動美術館のパレット・コレクションの第1号、つまり着想のきっかけとなった逸品である。

 日本洋画壇に登場する作家たちを記すと……。熊谷守一、梅原龍三郎、安井曽太郎、北川民次、里見勝蔵、林武、東郷青児、福沢一郎、野口弥太郎、向井潤吉、小磯良平、宮本三郎、鳥居敏文、原精一、脇田和、古沢岩美、高田誠、鴨居玲ら故人18人のほか、存命の野田弘志、絹谷幸二、田村能里子の3人と合わせて21人が会場の壁面を飾っている。
 パレットの形は一般的な楕円形や長方形、大きなものから持ち運びに便利な二つ折サイズの小さなものなど様々で、素材も一般的な木製から合成樹脂や大理石、御影石、さらに硯石や使い捨ての紙製までとりどりである。パレットに描かれた絵では林武の赤富士や絹谷幸二の富士山、絵具がこんもり盛り上がった鴨居玲の巨大なパレットには自画像。大理石の野田弘志はシャレコウベ、東郷青児の女人像、福沢一郎の花と人物、向井潤吉の魚2尾など見るものを楽しませてくれる。
 大半が笠間日動美術館のコレクションで、梅原龍三郎の絵具箱とイーゼル、林武の絵具箱、筆立て、水差しなども陳列されたが、市立小樽美術館収蔵の小寺健吉、国松登、田辺三重松、中谷龍一、渡辺祐一郎、中村善策、鳥居敏文の絵画7点も出品されたことも付記したい。

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