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「中村善策と加賀の北前船主・西谷家展オープン」

 「中村善策と加賀の北前船主・西谷家」展が本日オープンしました。本展は、今年が中村善策没後40年、記念ホール開設35年に当たることを記念して開催するものです。

 西谷家は江戸中期、18世紀半ばに創業した加賀の北前船主です。大阪と松前を結ぶ海運業に従事していましたが、明治22年、五代目庄八の時小樽に進出。小樽倉庫を設立するなど倉庫業、回漕業へと事業を展開し、道内各地、さらには樺太にまで事業を拡大していきました。

 西谷家は故郷の加賀とともに小樽にも生活の基盤を置いていたため、事業だけでなく文化面でも小樽と深い繋がりを持ちました。中村善策への支援もそのひとつです。

 善策は15歳の時、西谷回漕店に入社しますが、五代目庄八の子息である六代目正治は早くから善策の才能を認め、目をかけていました。善策が画家を志して上京する直前の半年間、絵画に没頭できるよう山荘を提供したり、結婚後の住居を斡旋したりもしています。

 善策にとってはその支援がなかったら中央に進出して大成することができなかったかもしれないというほどの恩人であり、2人の交流は善策の大成後も長く続きました。正治の妻貞子を善策が描いた肖像画などからは、家族ぐるみの深い関係がうかがえます。

 本展覧会は2部構成で、まず1階の中村善策記念ホールでは、「晴れの装い・櫛かんざし」というテーマで西谷家に伝わる貴重な装身具を紹介します。2階の企画展示室では、小樽と信州を題材にした善策の代表的な油彩画をご覧いただけます。ぜひじっくりお楽しみください。

苫名 真

 

 

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