市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

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市立小樽美術館開館30周年記念特別展「画家たちのパリ」展

 小樽市民の熱い視線を浴びながら市立小樽美術館は1979(昭和54)年8月、開館した。それから数えて今年で開館30周年の節目を迎え企画された記念特別展「画家たちのパリ」展のオープニングセレモニーが5月23日午前9時から同美術館1階のエントランスホールで開かれた。この日の開幕を祝って山田勝麿小樽市長をはじめ小樽商工会議所の鎌田力会頭、小樽商科大学の山本眞樹夫学長、道立近代美術館の相馬秋夫館長らも駆けつけ、出席者は総勢百人を超えるかつてないにぎわいのセレモニーとなった。
 まず、主催者を代表して挨拶に立った西條文雪記念特別展実行委員長は多数の出席に感謝を述べるとともに「初めて実行委員会方式による特別展を是非成功させたい。そのために前売券や図録の販売に努めてきたが、なんといっても多くの人々が展覧会を見にきてくれることがカギになるので友人、知人、そして何より子どもたちの入館を呼びかけて欲しい」と力を込めた。続いて来賓の山田市長、同展企画協力の相馬道立近代美術館長、共催の中塚敏明北海道新聞小樽支社長、山本小樽商大学長らが挨拶に立ち、同展の成功を願ってエールをおくった。
この特別展は、小樽の黄金期を築いた明治末期から大正期に、当時の東京美術学校(現東京芸術大学)西洋画科に学んだ後、パリに遊学したともに小樽出身の長谷川昇(1886~1973年)小寺健吉(1887~1977年)工藤三郎(1888~1932年)の3人の画家にスポットを当てた第1部「青春の巴里-小樽の外遊画家たち」と第2部「エコール・ド・パリの画家たち」の2部構成で企画された。第1部は小樽から渡仏した3人が日本洋画壇に残した足跡をたどる内容(出品25点)、そして第2部はこの3人が渡仏した当時、パリで活躍していたユトリロ、シャガール、マリー・ローランサン、キスリング、スーチン、パスキン、アンドレ・ドラン、ヴァン・ドンゲンら11人の画家たちの作品約40点を集め、その頃のパリの雰囲気を味わってもらう狙いである。
 長谷川ら3人が遊学した当時のヨーロッパは第1次世界大戦後から1929年に始まる世界大恐慌までの1920年代の激動期に当たり、芸術の都パリにはあの藤田嗣治らも暮らしている「エコール・ド・パリ」のエポックを築いた時代。この展覧会に触れることで、当時の世界の、そして小樽の歴史に触れてもらうのがもう一つの狙いとなっている。
 相馬道立近代美術館長には、その挨拶の中で「市立小樽美術館ならではの企画であり、内容豊かなもの」と賞讃の言葉を戴いたが、小樽市民はもちろんのこと、札幌近郊をはじめ道内外の多数の美術ファンの来館を期待している。(会期は7月20日まで)。 keiji-pari-top[1]

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