市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

「池田緑―マスクに覆われた世界」展オープン

 本日、「池田緑―マスクに覆われた世界」展がオープンしました。池田緑は1990年代後半から一貫してコンセプチュアルな制作を展開している現代美術家です。十勝を拠点に、その活動は「越後妻有アートトリエンナーレ」など全国各地に広がっています。

 池田の代表的な作品といえば、ガーゼのマスクを用いたプロジェクトが第一に挙げられます。これはマスクを長期間屋外に設置し、そこに付着した汚れを通して自然環境の悪化を告発しようとしたものでした。一方、その後滞在中のニューヨークで遭遇した同時多発テロ事件では体験者にマスクを着用してメッセージを語ってもらっています。そこではマスクは口を覆うという別の機能を果たしています。マスクという誰にとっても身近な存在であるからこそ、それぞれに異なるシンボリックな効果をもたらしたといえるでしょう。

 池田の制作はほかにもダイモテープやジーンズといった身近な素材を用いたものが多く、マスク同様、作家のコンセプトに明快さと説得力を与える重要な要素となっています。

 コンセプチュアルアート(概念芸術)というと難解でとっつきにくいイメージがありますが、池田の制作はそんな先入観を取り払い、見る者をごく自然に現代アートの世界へ導き入れてくれる親密さと誠実さを持っています。

 花園1丁目のサロン・ド・宮井(宮井額縁店)でも同時開催中です。本展と合わせ、ぜひご覧ください。

苫名 真

 

市立小樽美術館:一原有徳記念ホール

サロン・ド・宮井

 

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