市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

「能舞台の華」展オープン

 本日、「能舞台の華 能画―松野奏風・松野秀世と能面―外沢照章の世界」展がオープンしました。3年前の「小樽の能楽」展では大正15年創建の旧岡崎家能舞台を取り上げ、その建築とともに同家に伝わる能装束などを展示しましたが、今回は第二弾として能をテーマとした絵画を紹介するものです。

 能を描いた絵画を「能画」と呼びます。明治時代の浮世絵師が始めたもので、その流れを汲み、大成させたのが松野奏風(1899-1963)です。戦前から全国の能舞台の背景画(松図)を描くとともに、演じられる能の様子を絵画作品として制作しました。

 奏風の息子・松野秀世(1936-2002)は東京藝術大学日本画科に学び、日本美術院(院展)特待となった日本画家です。秀世も父親同様各地の能舞台に揮毫する一方で、能をテーマとした日本画を院展などに発表しました。

 本展は二人の能画における功績を記念して設立された千葉県四街道市の松野藝文館から代表作をお借りし、北海道で初めて披露するものです。

 展覧会では市内在住の能面作家・外沢照章による古来の技術と型を忠実に伝える能面の数々を能画に描かれた演目に合わせて展示しています。能画と能面を比較しながら鑑賞することで、能の持つ魅力をいっそう深く味わっていただけることと思います。

 能文化が今も息づく小樽ならではの展覧会です。ぜひお越しください。

苫名 真