市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

「全国美術館会議小規模館研究部会の研修会・会合の開催

 去る9月13日、14日の2日間にわたり、全国美術館会議小規模館研究部会の第53回研修会・会合が当館で開催されました。
 全国美術館会議は1952年に設立された一般社団法人で、国公私立合わせて現在406の美術館が加盟する国内唯一かつ最大の「業界団体」です。
 当会議には6つの研究部会があり、その一つが小規模館研究部会。現在64館が参加しています。これは比較的小規模の美術館同士がネットワークを構築し、よりよい館づくりのため、知恵と技術を共有しようとするもので、毎年持ち回りで研修会・会合を開催しています。
 北海道での開催ということで集まりが心配されましたが、全国各地の17の館と組織から26名の参加者を迎えることができました。
 1日目に行われた研修会のテーマは「地域との協働による芸術文化のまちづくり」。
 事例発表ではまず私が小樽美術館の紹介として、協力会という市民団体に強力なサポートを受けていること、魅力的なレトロな街並みの一角に位置していること、小樽の美術を顕彰するという明確な方針を掲げていることなどをお話ししました
 続いて小樽商科大学の高野宏康先生に「歴史文化を活かした小樽の観光まちづくり」と題して、北前船をめぐる全国のつながりや豪商による美術家支援の話など小樽ならではの文化的伝統とそれを活かした現代の取り組みについてご講演いただきました
 最後に北海道職業能力開発大学校の駒木定正先生から「近代建築史からみた小樽のまちづくりと未来」というテーマで色内地区の歴史的建造物を通して日本・世界の近代建築の系譜をたどるとともに、北海製罐第三倉庫を今後どのように小樽のまちづくりに生かしていけるかという話をしていただきました 

 2日目は総会の後、市内の美術館博物館を視察しましたが、最初に全員揃って訪れたのが心意気博物館でした。まだ開館に向けての準備中ですが、特別に入れていただき、館長で当協力会の新会長でもある秋野治郎氏から丁寧な説明を受けました(写真)
 小樽のスキーに関する資料や小樽商人の誇りを伝える印半纏、さらには明治時代の石造家屋を改造した建物などに参加者の興味は尽きないようで、質問者が列をなす熱心さでした。
 参加者はその後、それぞれ北一ヴェネツィア美術館や小樽芸術村、小樽市総合博物館などを見学し、夕方には次回大阪での再会を期して帰路につきました。
 小規模館はそれぞれ個性的で、設立母体もさまざまです。置かれている環境も異なり、今回のような課題に対しても共通の解決策は簡単には見つかりません。しかしながら小規模館だけあって参加者の顔ぶれは毎年あまり変わらず、結びつきはますます堅固になっています。困ったときには相談ができ、知恵を出し合えるこの関係を大切にしていきたいとあらためて認識した2日間でした。 

 

苫名 真 

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