市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

「新任のごあいさつ」

 この4月から新明英仁前館長の後を受けて館長に就任した苫名真(とまなまこと)と申します。ごあいさつが遅くなり、誠に申し訳ありません。

まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。苫名という苗字が珍しく、「苫小牧の苫です」と説明するたびに「北海道らしい名前ですね」と皆さん納得されるのですが、出身は滋賀県です。新明前館長とは東北大学文学部の先輩後輩で、前館長は東洋・日本美術史専攻でしたが、私は美学・西洋美術史を学びました。卒業後は道立近代美術館の学芸員となり、三岸好太郎美術館、帯広美術館、釧路芸術館勤務を経て、今年3月、近代美術館の学芸副館長を最後に定年退職したところです。

近代美術館では主にガラス工芸を担当していました。おかげで、今はない運河工芸館で現代ガラス展を開いたり、市内の工房をたびたび訪れたりと、ガラスを通して小樽の街とは浅からぬご縁ができました。

小樽美術館については、かねがねその地域に根差した誠実な活動ぶりに感服していました。小樽の美術を丹念に調査し、作家や美術運動をきちんと評価したうえで、展覧会や作品収集という形で顕彰し、市民の皆さんに伝えていく。40年を超す積み重ねは小樽のみならず、北海道の美術史にとっても貴重な財産となっています。

なぜこのような充実した活動が可能なのか不思議に思っていましたが、実際に着任してみて初めて得心がいきました。小樽美術館には陰になり日向になり、その運営を支えようとする地域の人々の存在があったのです。自分たちこそが商都小樽の文化的伝統を守り、次代に引き継いでいくのだという協力会の皆さんの「誇りと心意気」をひしひしと感じています。

大変心強くありがたく思うと同時に、それだけにいい加減なことでは許されないぞと責任の重さを痛感しています。微力ながら学芸員としてのこれまでの経験を活かし、誠心誠意小樽美術館の発展に取り組む所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

苫名 真

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