北海道・海のある風景/山のある風景
観光、行楽シーズンも本格化し、小樽の街にも観光客の姿がめっきり目につくようになりました。その季節に呼応すべく当美術館の今年の特別 展第一弾「北海道 海のある風景 山のある風景」展(6月3日-7月23日)が開幕しました。先頃、北海道新聞社が刊行した同名の画集二冊から選りすぐった作家30人の作品49点を集めた展覧会です。
海、山に囲まれ、天然の良港を持つ小樽は画家達には恰好の風景画の画題に恵まれ、多くの作品を生んできた歴史と伝統があります。運河や船の浮かぶ港、坂のある街並みや古い建造物、そして周辺の自然景観など、絵心を限りなく触発する小樽で、風景を文脈にとらえた企画展の開催は極めて自然な流れといえるでしょう。
集めた作家の名を挙げてみると、油彩作品30点の中には林竹治郎、工藤三郎、木田金次郎、中村善策、田中忠雄、田辺三重松、国松登、小川原脩、小竹義夫、伊藤正、小谷博貞ら北海道を代表する物故作家らが名を連ね、さらに片岡球子の「羊蹄山の秋色」、北上聖牛の「はなれ国の初夏」、川井坦の「昆布とりの島・雨」などの日本画、そして北岡文雄、金子誠治、阿部貞夫らの木版画など、見ごたえのある内容になったと自負しています。
作品群は、道立近代美術館、小川原脩記念美術館、木田金次郎美術館、財団法人荒井記念美術館などのご協力を頂き、貴重な作品を借り受けて実現したものです。道内各地に画題を求めた作家たちの鋭い感性を是非堪能して欲しいと願っているところです。
また、この特別展と同時に、常設の中村善策展も収蔵作品を掛け替え「中村善策・その軌跡」シリーズの「季節を描く」として20点を陳列しました。合わせて楽しんでください。