企画展 小樽風景・個性の響き
秋恒例の小樽市文化祭が繰り広げられる中、当美術館でも「美術市展」「書道市展「写 真市展/和紙ちぎり絵展」「小樽ユース展」などで賑わいを見せ、ほぼ1カ月間の展覧も幕を閉じた。 この秋は例年になく温暖な日和に恵まれ、訪れる市民も多かったのではないかと思う。
当美術館で今春から夏にかけて続いた特別展1「中村善策の全貌展」同2「写実の求道者-伊藤正展」は、入館者が過去の記録を更新する7400人を超え、盛会裏に閉幕した。中村善策展では関連企画として市立松ヶ枝中学校の1年生全員が参加する「中村善策の写 生地めぐりとスケッチ」「ワークシートでの美術館学習」「中村善策壁新聞の制作」などが行われた。この一連の行事は同校の「総合学習」としてカリキュラムに組み込まれ、初めてのケースとして、各方面から注目された。
この成果を発表する場として11月1日から1カ月間、常設の中村善策記念ホール(1F)で当美術館が収蔵する善策作品から人気投票で選んだ作品を展示、合わせて生徒たちのスケッチも陳列する運びとなった。後半の半月間には壁新聞も同ホールに張り出すプランだ。この試みは生徒らのアイデアによる同ホールの企画展「見て・聞いて・描いて-私の好きな中村善策展」として実現し、多くの人々に楽しんでもらえるものと期待を寄せている。
一方、2階の展示室では当美術館の企画展「小樽風景-個性の響き」(~2009年1月25日)が開かれている。これは小樽ゆかりの画家9人による風景画展である。「絵になる街」と定評のある小樽の風景を、それぞれの画家の感性と手法を通 じて楽しんでもらう狙いである。出品画家は小樽在住の小川清、冨澤謙、堀忠夫、山下脩馬、羽山雅愉の5人と、小樽出身の木嶋良治(札幌)小平るり子(千葉・習志野)の2人、そして30年以上も小樽に通い運河、街の家並みなどを描き続ける佐藤善勇(東京・八王子、主体美術)と小樽桜陽高校で5年間教鞭をとったことのある輪島進一(函館)の合わせて9人が、いずれも大作ばかり3~5点を出品している。実力派の洋画家による“共演”は見ごたえのあるものと自負している。
ところで、先の中村善策、伊藤正の特別展を通じて実施した来館者の居住地アンケート「どちらからいらっしゃいましたか」調べの結果を紹介します。答えて頂いたのは3,784人に上った。その比率を居住地別に分析した結果は、小樽市内24.8%、札幌市42.7%、上記2市以外の道内16.0%、道外14.9%、国外1.6%。小樽市民の来館者が予想外に少なく、札幌を含めた道内は実に58.7%と、ほぼ6割を占めたのが注目された。道外勢の約15%も観光都市としての小樽の一面を物語る数値といえるだろう。