市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

人生百年 書道大家・宇野静山展オープン

 本日、宇野静山展がオープンしました。宇野静山(1906-2010)は苫前町の生まれ。「現代書道の父」と言われる比田井天来に師事し、小樽市内で長年高校教諭を務めながら研鑽を重ねました。毎日書道展、創玄書道会の創設に深く関わる一方、自ら「臥龍社」を主宰するなど道内書道界のけん引役としても活躍。小樽市文化功労者(1970)、北海道文化賞(1977)、地域文化功労者文部大臣賞(1987)を受賞しています。

 展示室には初期から最晩年までの代表作66点が並び、小樽が生んだ巨匠の全貌を一望する絶好の機会となりました。書道ファンのみならず一般の方々にもぜひご覧いただければと思います。
実は当館特別展示室で書道展を開催するのは初めてのことです。私自身も絵画や彫刻、工芸をもっぱら扱ってきたので「書」はまったくの門外漢。どのように鑑賞すればよいのか見当がつきません。

 しかたがないので、とりあえず自分の専門領域に引き寄せて鑑賞してみることにしました。つまり、全体のバランスや筆の運び、墨の濃淡、紙への滲みといった造形面に焦点を絞り、絵を見るのと同じように眺めてみたのです。すると作品全体に見られる雄勁な線にまず引き付けられ、やがて個々の作品から大らかな気分や躍動感、凛とした品格などが感じられるようになってきました。

 もちろん文字を単にかたちとして見るのではなく意味のある言葉としてとらえることは書を観賞するときの大切なポイントであり、他にも漢字と仮名、書体の違いなどさまざまな要素があることと思います。安易に美術と同一視すると書ならではの魅力や本質がスポイルされてしまうかもしれません。

 しかしながら自分なりの見方で向き合うことでこれまで敷居が高く感じられていた書の世界が少し身近になった気がします。これをきっかけに書の味わい方や歴史を勉強してみたいと思っているところです。

苫名 真

 

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