ミュージアムショップ・ボランティアの皆さんをお迎えして
来年2月1日のオープンに向けて着々と準備が進んでいるミュージアムショップですが、本日、ボランティアとして活動していただく皆さんにお集まりいただき、ガイダンスを行いました。
協力会の岩永副会長からショップの開設についてのご挨拶、宮井会計から協力会の沿革と活動趣旨についてのご説明があった後、私からは道立近代美術館のボランティア活動を紹介しつつ、次のようなお話をさせていただきました。
[一方通行から双方向へ]
ボランティア活動に対する考え方が変わりつつあります。支援する側と支援を受ける側との関係が、従来の一方通行的なものではなく、対等なパートナーへと変化しつつあるのです。お互いにとって負担もあるがメリットもある、お互いにとって不可欠である、という関係です。
美術館にとってボランティアは、業務をサポートしていただく、なくてはならない存在です。ただ、ボランティアを養成したり指導したりすることには相当な負担も生じます。実際、全国の美術館博物館のうち、ボランティアを受け入れていない館が6割もあるのです。しかし、近年は、市民参画の機会を設けること、つまりボランティアに活動してもらう場を提供することも、美術館の役割の一つであると考えられるようになってきています。
他方、ボランティア側のとらえ方にも変化が起きています。困っている人を助けてあげるという慈善的な意識だけでなく、自己実現や研鑽の場として、あるいは仲間を見つける場としてボランティアを希望する人が増えてきているように思います。
このような状況を踏まえたうえで、次の三点をとくにお願いします。
[お願い]
①積極的な主体性を持つこと
やらされている感が強いと義務になり、面白くない。運営方法や商品の選定・開発、売り方の工夫などどんどん自主的にアイディアを出して積極的に関わっていただきたい。
②美術館の顔としての自覚と誇りを持つこと
美術館にとって今やショップは欠かせない存在。それを楽しみに来る方も多く、賑わいの創出にもつながる。また、来館者にとっては一番会話をしやすい窓口であり、美術館との橋渡し役となるはず。美術館の印象を左右する大事な存在であるという自覚と誇りを持っていただきたい。
③生涯学習の機会としてはどうか
ボランティアとして仲間と働くということ自体、楽しみや生きがいに結びつくものだが、せっかく美術館で働くのだから勉強の場として活用してはどうか。当番のたびに展覧会を鑑賞して小樽の美術について学んでいただくと、お客さんとの会話にも役立つ。加えて、美術館や美術の歴史を学ぶ機会として、
ボランティアの皆さん向けの館長講座を定期的に開催するので、ぜひ学習に役立てていただきたい。参加は自由、お好きなテーマの回だけでもOK。
この後、ボランティアリーダーの紹介、ショップの視察、館内見学などを行い、ガイダンスは終了しました。
当館ではこれまでボランティア活動は行われていませんでした。ショップの開設とともに、開館以来初となる画期的な取り組みです。手探り状態の中、お迎えするほうも緊張しているところだったので、お互いを知るよい顔合わせの機会になりました。ともに手を携えて、ショップの運営とボランティア活動を軌道に乗せていきたいと考えています。
苫名 真