市立小樽美術館 市立小樽美術館協力会

KANCHOの部屋

風景の躍動感 没後30年 中村善策展

 小樽美術館のメインコレクションとなっている郷土出身の風景画家中村善策(1901~1983)の足跡をたどる中村善策記念ホール開設25周年記念特別 展「風景の躍動感 没後30年 中村善策展」(~9月16日)が開かれている。当美術館は故郷小樽に代表作の多くを集め一堂に展覧することを熱望していた中村善策の思いを受け、現在の市立小樽美術館協力会の前身である市立小樽美術館設立期成会が中心となって活動した市民運動が実り1979(昭和54)年に開設された。さらに中村善策の意思は受け継がれ没後5年を記念して当館1階部分に年間を通じて定設の記念ホールが開設されたのである。以来、開設の節目となる5年ごとに開設記念特別展を恒例化、25周年展となった。
 今回の特別展は中村善策の作品群(51点)が中心なのは当然として、この作家とともに小樽美術界の黎明期を築いた作家たちの作品群を第Ⅰ部「中村善策と小樽の群像(小樽太地社)」のタイトルで1階記念ホールに展覧した。この会場には、油彩、水彩、彫刻など合わせて36点が出品された。工藤三郎(1888~1932)三浦鮮治(1895~1976)中野吾一(1897~1978)兼平英示(1898~1946)谷吉二郎(1903~1960)大月源二(1904~1971)そして中村善策の7人。この作家らは北海道美術界の”源流”ともいえる北海道美術協会(道展)の創立会員にも名を連ねており、同時期に小樽拠点の「太地社」を発足させた面々でもある。1924(大正13)年に発足した「太地社」は大月源二の発案で太陽の「太」と地球の「地」にちなんだ命名と伝えられ、その翌1925年に道展が創立されている。

 工藤三郎はやはり小樽出身の長谷川昇(1886~1973)小野寺健吉(1887~1977)ら先輩を追うように東京美術学校(現東京芸術大学)に進み、1920年代にパリに遊学、エコール・ド・パリの空気にドップリ親しんだ作家であり、帰郷して小樽の後進に刺激を与えた。  
  2階会場は第Ⅱ部「中村善策の黄金期」のタイトルで全42点の油彩画が壁面を飾っている。地元小樽はもちろん戦中戦後の疎開先だった信州や関東周辺の風景を楽しめる。 keiji-nz[1]

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